大西瀧治郎の自決理由と遺書の真相|特攻の父が背負った壮絶な十字架

大西瀧治郎の自決理由と遺書の真相|特攻の父が背負った壮絶な十字架

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自決現場となった官舎の枕元には、白い便箋に毛筆で清書された遺書が残されていました。それは単なる家族への遺訓ではなく、散っていった部下たちへの公式な謝罪文であり、敗戦に打ちひしがれる日本の若者へ向けた最後の檄文でもありました。

以下が、歴史に刻まれた「大西瀧治郎の遺書全文」です。

【大西瀧治郎 海軍中将の遺書】

特攻隊の英霊に申す。
善く戦ひたり深謝す。
最後の勝利を信じつゝ肉弾として散りゆきし統帥の外道なる作戦を命ぜし者として、深謝の念を捧ぐ。
我等戦況を此処まで悪化せしめたる罪を謝す。

青年に申す。
我が死を軽挙妄動の口実となすなかれ。
諸子は日本の力なり。
隠忍自重し、日本の再興と世界人類の平和に貢献せよ。

文中で最も衝撃的な言葉は、自ら命じた特攻作戦を自ら「統帥の外道」と言い切った点にあります。軍事組織の最高幹部が、自らの指揮作戦を「外道(人の道から外れたもの)」と公に断罪した例は、世界戦史を見渡しても極めて異例です。勝つための正当な軍事行動などではなく、狂気の沙汰であることを誰よりも痛感していたのは、命じた大西自身でした。

また、駆けつけた門司主計少佐らに遺した大西瀧治郎の最後の言葉には、深い情愛と諦念が混ざり合っていました。「門司、これでお前とも別れだな。いろいろ世話になった」「生きて日本の再興に尽くしてくれ」と告げ、死の間際まで取り乱すことなく、残される者たちの行く末を案じていました。軍国主義の狂信者という後世の一面的なレッテルとは異なる、理性を保ち続けた指揮官の凄絶な内面がここに表れています。

渡辺 美咲
著者

渡辺 美咲

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。