進路希望調査の発表直後、教育現場やSNS上ではどのような声が渦巻いているのか。大阪市内の大手進学塾の教室長や、現役の受検生・保護者への聞き取り取材、さらにはネット掲示板やSNS(X・知恵袋)に投稿された生の反応を検証した。
北摂エリアの進学塾講師は、教室での緊迫した面談の様子を明かす。「茨木高校の2.12倍という数字が出た瞬間、保護者面談の電話が鳴り止みませんでした。『この倍率でも突撃すべきか、それとも春日丘や千里、豊中に下げるべきか』という切迫した相談です。ですが、私たちは『この2.12倍はあくまで1月時点の幻影であり、本番では間違いなく1.5倍前後に落ち着く。今見るべきは倍率ではなく、過去問のC問題で合格最低点に届いているかどうかだ』と必死に宥めています」。数字に踊らされる保護者と、冷静に歩留まりを計算する塾側との間で、激しい心理戦が繰り広げられている。
また、大阪府公立高校入試に関するネットの反応をリサーチすると、受検生たちの悲喜こもごもが浮き彫りになる。「茨木の希望倍率を見て絶望した。私立専願にしておけばよかった」「私立の授業料が無償化されたから、親から『文理学科に落ちてもいいから強気で受けてこい』と言われた。落ちたら私立特進に行くだけ」「普通科の定員割れ校が多すぎて、地域の公立高校が統廃合されないか心配になる」など、強気な挑戦志向と将来への不安が交錯している。
とりわけ注意すべきは、第2回調査の公表(1月24日前後)から、2月中旬の「第3回進路希望調査発表日」までの間に起きるドミノ倒し的な志望変更である。超高倍率に恐れをなした上位層が一段下の高校へシフトすると、その高校の倍率が今度は跳ね上がり、玉突き事故のように中堅人気校の難易度を押し上げる。希望調査の倍率変動は、単一の学校だけでなく、周辺校を含めた連鎖反応として捉えなければならない。