駒澤大学陸上部の真の強さを語る上で外せないのが、東京都世田谷区砧にある合宿所(道玄寮)での寮生活と、そこで提供される食事の存在です。メディアの取材や所属部員の生の声から浮かび上がるのは、ストイックな規律と温かな家族的支援が同居する独特の生活環境です。
選手たちの身体づくりを長年支えてきたのが、大八木総監督の妻である大八木京子寮母です。単なる栄養計算にとどまらず、個々の選手の体調や走る距離、季節ごとの発汗量、さらには血液検査の結果まで考慮した日替わりの献立は「駒澤の食事」として駅伝ファンの間でも広く知られています。近年では専門の栄養士スタッフとも連携を深め、疲労回復速度を高めるタンパク質と糖質の黄金比率メニューが徹底されています。
朝5時台の点呼と早朝練習から始まり、大学の講義、午後の本練習、そして全員での規則正しい夕食。消灯時間まで厳密に定められた生活サイクルに対して、ネット上では「息が詰まるのではないか」という懸念の声が散見されることもあります。しかし、部員たちの証言からは異なる実態が見えてきます。同部屋の先輩・後輩でレース展開を語り合い、日々のフォームやケア方法を共有し合う密密なコミュニケーションが、箱根路の極限状態における「襷(たすき)の信頼関係」を自然と醸成しているのです。