多くの生活者が「衛生的に保ちたい」という純粋な善意から行っている手入れの中に、実は木製品にとって致命傷となる罠が潜んでいます。取材した創業80年を超える木工所代表は、「持ち込まれる傷んだまな板の約7割が、間違った手入れによる人為的なダメージだ」と証言します。
第一の過ちは、木のまな板に漂白剤がダメな理由を知らずに塩素系漂白剤を吹きかけてしまうことです。塩素系漂白剤はプラスチックの汚れを落とすのには有効ですが、木材の主成分であるリグニンを化学分解して繊維を破壊します。その結果、表面がけば立ってザラザラになり、余計に汚れや雑菌が入り込みやすい環境を作り出してしまいます。さらに、木材内部に浸透した塩素成分は水洗いだけで完全に抜けにくく、食品に微量の薬剤が移行するリスクも否定できません。白く脱色されて不自然な斑点模様が残るなど、美観の面でも取り返しのつかない打撃を受けます。
第二の罠は、木のまな板食洗機NGの理由を軽視して機械に入れてしまう行為です。食洗機内部は60℃〜80℃の高温高圧水流で洗浄され、その後強力な熱風で一気に乾燥させられます。木材内部の急激な含水率の変化は激しい膨張と収縮を引き起こし、一度の洗浄でまな板が弓なりに反り返ったり、中央から真っ二つに割れたりします。集成材のまな板であれば、板同士を繋ぐ接着剤が熱と水分で劣化して剥離する原因にもなります。
加えて、以下の2点も初心者が無意識にやってしまう代表的なNG習慣です。
- 洗剤液への長時間の浸け置き:汚れた水や合成洗剤の界面活性剤が木の導管深くまで吸い込まれ、悪臭やカビの温床になります。
- 直射日光による天日干し:急激な紫外線照射と急乾燥により、木材の表面と内部で収縮率の差が生じ、目に見えない無数のヒビ割れを発生させます。