名門グランメゾンで腕を振るうベテランソムリエや支配人の取材から聞こえてくるのは、「ルールに縛られすぎて窮屈そうにしている姿こそが最も美しくない」という現場の偽らざる本音です。
都内星付きレストランのシェフソムリエは、サービス現場での観察を次のように語ります。「若いお客様を中心に、ステムの下部を指先2本でつまむように持ち、緊張のあまり手が震えてワインを揺らしてしまう光景をよく目にします。サービス側からすると、高価なテーブルクロスやお客様のお洋服を汚さないかハラハラするのが実情です。無理に気取って脚の先をつまむくらいなら、ボウルの底部を3本指で優しく抱え込むように持っていただけるほうが、所作としても安定し優雅に見えます」
さらに場面によって使い分けが必須となるのが、立食パーティーでのグラスの持ち方です。立食では片手に料理の小皿、もう片手にワイングラスを保持しなければならず、常に人とすれ違う動的な環境下にあります。
立食において脚だけを支えて歩き回るのは、周囲の腕が当たった際の転倒リスクを大幅に跳ね上げます。左手で小皿の縁とグラスの台座(プレート)を同時に固定する高度なテクニックを用いるか、右手でボウル下部をしっかりとホールドして胸元のセーフティゾーンに保つのが、熟練したビジネスパーソンに共通するスマートな防衛策です。