小田急 山のホテルを語る上で欠かせないのが、その比類なき成り立ちです。この場所はかつて、三菱財閥の第4代総帥であった岩崎小弥太男爵が1911年(明治44年)に造営した別邸でした。岩崎男爵はこの風光明媚な地に深い愛着を寄せ、世界各国から賓客を招いて歓待するための理想郷として、庭園の整備に情熱を注ぎました。
現在、庭園を彩るツツジやシャクナゲの多くは、男爵が日本全国の名木を取り寄せて植栽させたものが原点となっています。当時の財界人が追い求めた「自然との調和」「西欧の社交文化と日本の伝統美の融合」という美意識が、1948年に本格的なリゾートホテルとして開業した現在も、ホテルの隅々にまで息づいています。
リゾートホテルを訪れる現代人が真に求めているのは、単なる豪華な内装ではなく、その空間が持つ「時間の厚み」と「精神的な余白」です。岩崎小弥太男爵の美意識が今なお継承されているからこそ、ロビーの暖炉やクラシカルな調度品、湖畔を渡る風に触れたとき、旅人は日常のデジタルストレスから解放され、深い安心感を覚えるのです。