克弥院長が自身の健康状態や闘病を公表するたびに、週刊誌等で取り沙汰されてきたのが「高須クリニックの後継者問題」です。世間では「巨大な医療帝国の後継ぎを巡って息子たちが対立しているのではないか」といったセンセーショナルな見方がされることもありました。
しかし、実際のクリニック運営を追うと、後継者争いという概念自体が実態と乖離していることが分かります。高須クリニックは単一の巨大組織が中央集権的に支配されているのではなく、東京・横浜、名古屋、大阪といった各法人がそれぞれのリーダーシップのもとで自立採算的に運営される体制を早期に構築してきました。現在、名古屋院を実質的に率いるのは幹弥氏であり、東京・横浜の法人は力弥氏がマネジメントを支えています。
克弥院長自身、過去のインタビューや自著において「息子たちにはそれぞれ自分の道を行かせている。私のクローンを作るつもりはない」と語っており、自らのカリスマ性に依存した事業承継を明確に避けてきました。親の威光を押し付けず、息子たちもまた親の看板を過剰に利用しないという、健全な心理的境界線(バウンダリー)が保たれていることが、同族医療法人にありがちな内紛を防いでいる決定的な要因です。