大学に長年勤めれば誰でも自動的になれるわけではありません。称号の授与は、各大学が独自に定める名誉教授称号規程に基づき、厳密な選考プロセスを経て決定されます。
名誉教授になるための条件・基準のベースとなるのは、勤続年数と研究・教育上の業績です。一般的には「当該大学において教授として通算15年以上、あるいは学長・副学長として功績を残した者」といった年数要件が課されるケースが目立ちます。名誉教授の定年退職と年齢は大学の就業規則に連動しており、国公立大学では65歳、私立大学では65歳から70歳の定年退職時に選考が行われるのが通例です。
日本最高峰の学府である東京大学名誉教授を例に取ると、その選考基準は極めてシビアに成文化されています。東京大学名誉教授称号規程によると、東大の教授として通算15年以上勤務した者、または総長・副学長等の重責を担った者に加え、「教育上又は学術上特に功績のあつた者」として各学部・研究科の教授会から推薦されなければなりません。
重要なのは、年数条件を満たしていても自動付与されるわけではない点です。教授会での無記名投票や業績審査において、十分な査読付き論文数や学会活動の実績が認められず、推薦を見送られる事例も実際に存在します。学内政治の力学や人間関係の摩擦によって名誉教授になれずに去っていく教員も少なからずおり、まさに「選ばれた者だけの特権」と言えます。