ネット上の言説の中には、「麻原が独自に考案したマジック」と解釈しているケースが散見されますが、これは歴史的な文脈を見誤っています。結跏趺坐での跳躍自体は、オウム真理教のオリジナルではなく、1970年代から欧米を中心に流行した「超越瞑想(TM運動)」における「ヨーガ・フライング」の手法をそのまま借用・模倣したものです。
TM運動のプログラムでも、マットの上で座禅を組んだまま跳躍する修法が存在し、当時は欧米のテレビ番組でも「空を飛ぶ瞑想」として取り上げられていました。麻原は既存のオカルトブームや新興宗教のメソッドを貪欲に研究し、その中から最も視覚的インパクトが強く、大衆を惹きつけるギミックとしてこの身体技法を採用したに過ぎません。
しかし、決定的な違いが存在します。海外のTM運動では、これが「瞑想の深まりに伴う無意識的な筋肉の反射運動(ホッピング)」として説明されていたのに対し、麻原はそれを「物理法則を超越した超能力(シッディ)であり、私が最終解脱者である動かぬ証拠」として嘘を上塗りした点です。体重100kg近くあった麻原が重力に逆らって跳ね起きる姿は、信者にとっては物理的な努力ではなく「霊力の顕現」に見えるよう計算されていたのです。