志村さんを巡る誤解の一つに、「籍を入れない事実婚や養子縁組があったのではないか」という言説があります。特に晩年、身の回りの世話をしていた女性スタッフや弟子筋に対して、何らかの法的な身分関係を結んでいたのではないかという噂が独り歩きしました。
しかし、これも完全に事実無根です。志村さんは自らの独立した個人事務所を経営していましたが、株式や権利関係において特定の個人と養子縁組を結ぶことはありませんでした。また、歴代の交際女性とも「同棲」の域を出ることはなく、法的な権利・義務を伴う内縁関係の成立を意図的に避けていた形跡が窺えます。
徹底して「独り」であることを選び、財産の分配や血縁の継承に執着しなかった姿勢からは、自らの死生観を極めて潔く捉えていた喜劇王のダンディズムが垣間見えます。