なぜ私たちは、わざわざ恐怖を感じると分かっていながら、8月の土曜プレミアムにチャンネルを合わせてしまうのでしょうか。文化社会学および大衆心理学の視点から紐解くと、この番組が持つ洗練された安全装置の存在が見えてきます。
第一に、心理学でいう「良性のマゾヒズム(Benign Masochism)」と安全圏の担保です。人間は自室の安全が保証された状況下において、恐怖やスリルによる適度な心拍数上昇と、その直後に訪れる安堵感に快楽を覚えます。特に『ほん怖』の場合、エピソードの合間に「ほん怖クラブ」が挟まり、稲垣吾郎と子どもたちが「怖かったね」「もう大丈夫だよ」と視聴者の感情をリセットする緩衝材(バッファー)の役割を果たします。これが他の単館系ホラー映画やスプラッター作品と一線を画す点です。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
実話怪談というジャンルは、受け手のメンタル状態によって体験価値が大きく変動します。視聴に際しては以下の判断基準を参考にしてください。
- 視聴をおすすめできる人:
- 日常のマンネリを打破する刺激(安全な恐怖体験とカタルシス)を求めている人
- 白石麻衣や鈴鹿央士ら旬の俳優陣が極限状態で見せる、シリアスな演技派の一面を堪能したい人
- 「お化け屋敷」のようなエンターテインメントとして、家族や友人とリアクションを共有しながら鑑賞したい人
- 視聴に慎重になるべき(避けるべき)人:
- 一人暮らしを始めたばかりで、自室の生活音や押し入れの気配に過敏になりやすい人
- 暗所恐怖症や予期不安を抱えており、恐怖映像が就寝前のフラッシュバックにつながる恐れがある人
- 凄惨なゴア描写や謎解きミステリーの完全な論理的解決を期待している人(実話怪談は「理不尽で原因不明」のまま終わる構成が多いため)