アイスモナカの命ともいえるのが、心地よい食感です。しかし、水分を多く含む冷たいアイスクリームと、乾燥した焼き菓子であるモナカ皮は、物理的には相反する存在。本来であれば、アイスの水分が皮に移行してすぐにふやけてしまうはずです。この難題を克服したのが、森永製菓をはじめとするメーカー各社が長年磨き上げてきたテクノロジーでした。
森永製菓の開発担当者が過去の取材で「モナカの吸湿を防ぐために、皮の裏側全面に薄く均一なチョコレートの層を吹き付ける技術の開発に膨大な歳月を費やした」と語った通り、皮の内側を油分(チョコ)で完全にシールドする防水壁技術が、パリパリ食感の理由の根幹にあります。さらに同社は、製造から店頭に並ぶまでの期間を可能な限り短縮する「鮮度マーケティング」を構築。工場出荷から最短数日で店頭に届けるサプライチェーンの最適化によって、焼きたてに近い状態を維持しています。
では、消費者が時折遭遇する皮が湿気る真相とは一体何なのでしょうか。その最大の原因は、製造不良ではなく「流通および保存時の温度変化(ヒートショック)」にあります。スーパーやコンビニの陳列ケースの開閉時や、購入後に自宅へ持ち帰るわずかな時間でアイスの表面温度が上昇すると、微細な水分が水蒸気として蒸発します。それが再凍結する際、モナカ皮の隙間に吸着し、一気に水分を含ませてしまうのです。
もし購入したモナカが湿気ていた場合、自宅のオーブントースターで予熱後、アルミホイルを敷いて20秒〜30秒ほど軽くリベイクすると、余分な湿気が飛び、驚くほどのパリパリ感が蘇ります。温めすぎると中のアイスが溶け出すため、秒単位の見極めがプロ推奨の裏技です。