松田直樹さんの命を奪った直接の死因は、急性心筋梗塞です。心臓の筋肉(心筋)へ酸素と栄養を供給する冠動脈が血栓などによって急激に閉塞し、心筋が壊死を起こす重篤な疾患として知られています。
トップアスリートとして極めて高い心肺機能と強靭な肉体を誇っていた彼が、なぜ34歳という若さで心筋梗塞に見舞われたのか。医学的な分析によると、冠動脈の動脈硬化や血管の異常痙攣(冠攣縮)が突発的な心筋虚血を引き起こし、それによって致死的不整脈である「心室細動」が発生したと考えられています。
心室細動が起きると、心臓は痙攣した状態となって血液を全身に送り出すポンプ機能を一瞬で失います。これにより脳をはじめとする重要臓器への血流が遮断され、数秒から数十秒で意識消失を伴う心肺停止に至りました。持病もなく、直前まで普段通りに精力的なプレーを続けていたプロ選手であっても、自覚症状のないまま発症する突然死の恐ろしさを突きつける結果となりました。