アスリートの肉体的なピークは30代前半で過ぎ去ると言われて久しい。しかし、その常識をあざ笑うかのようにリングに立ち続けているのが彼だ。スピードやスタミナだけに頼らない。相手の癖を瞬時に見抜き、最小限の力で最大の圧力をかける技術体系こそが、彼の真骨頂である。
打撃のプレッシャーで相手を追い詰め、強靭な体幹から繰り出されるテイクダウン。一度グラウンドで下になれば、相手は息を吸うことすら困難になる。派手な飛び膝蹴りや一発大逆転のフックはない。だが、相手の選択肢を一つずつ潰していく冷徹な詰め将棋のようなファイトスタイルは、年齢という参入障壁を完全にはね返している。