小池一夫原作、小島剛夕作画による漫画『子連れ狼』は、1970年代に爆発的なブームを巻き起こしました。公儀介錯人の地位を追われ、柳生一族への復讐を誓う拝一刀と、わずか数歳にして死線をくぐり抜ける愛息・大五郎の旅路は、従来のホームドラマ的な親子像を根底から覆すものでした。
作中で象徴的だったのが、大五郎が父を呼ぶ「ちゃーん」という名セリフです。原作初期の大五郎は極めて無口であり、呼称も「父上」が基本でしたが、萬屋錦之介主演のテレビドラマ版において、まだ舌足らずな幼児のリアルな発音として「ちゃーん(父ちゃん)」が採用されました。この愛らしい響きと、時折見せる刺客の子としての鋭い眼光とのギャップが、日本中のお茶の間を虜にしたのです。