マクゴナガル先生の叱責もフィルチの怒声も意に介さず、ダンブルドアの言うことすら適当にはぐらかすピーブスですが、ホグワーツ城内で唯一絶対に逆らえない相手が存在します。それがスリザリン寮の幽霊、血みどろ男爵です。
全身に銀色の血痕を浴び、重い鎖を巻き付けた男爵が姿を現すと、ピーブスはどれほど暴れていてもピタリと動きを止め、帽子を脱いで「男爵様(Your Bloodiness)」と平身低頭に平伏します。
なぜピーブスは男爵だけをこれほど恐れるのか。その理由は、男爵が放つ圧倒的な「冷酷さと狂気」にあります。男爵は生前、愛するロウェナ・レイブンクローの娘ヘレナ(灰色の貴婦人)を拒絶された怒りから刺殺し、その罪の意識から自ら命を絶ったという凄惨な過去を持っています。
普段は言葉を発さず虚空を見つめる男爵の底知れぬ凄みと、一度怒らせたら何をするか分からないという絶対的な威圧感は、純粋な悪意と悪戯で動くピーブスにとって、本能的な恐怖の対象となっているのです。