学校教育や一般的なクイズ番組などで「フランス国旗の青は自由、白は平等、赤は博愛を表す」と説明されるケースは後を絶ちません。しかし、フランス政府の公式見解や歴史的文献において、この対応関係が公的に定義された事実は存在しません。
1789年のフランス革命勃発時、それぞれの色には明確かつ現実的な政治的意味が割り当てられていました。配色の根幹にあるのは、抽象的な哲学的理念ではなく、「対立する二つの権力の融合」です。
- 白(中央):何世紀にもわたりフランスを統治してきたブルボン王家を象徴する伝統色。絶対王政や君主の権威を示します。
- 青と赤(両端):絶対王政に立ち向かったパリ市旗(市民・自治軍)の色。青はパリの守護聖人「聖マルタン」、赤は同じく守護聖人「聖ドニ」に由来します。
つまり、反乱を起こしたパリ市民の色(青・赤)が、国王の色(白)を左右から包囲・監視し、「国民の監視下に王権を置く立憲君主制」を視覚的に表現したものがトリコロールの原型でした。「自由・平等・友愛(博愛)」という標語は19世紀半ばの第二共和政以降に定着したものであり、後から国旗の3色に当てはめられて語り継がれるようになったというのが歴史の正確な実態です。