多くの人が「手軽だから」と選びがちな電子レンジ調理ですが、実はチキンの衣にとって電子レンジは最も過酷な環境を作り出します。これには、食品加熱における水分移動の物理現象が深く関わっています。
電子レンジ(マイクロ波)は、食品に含まれる水分子を振動させて摩擦熱を生み出し、食品の内側と外側を同時に加熱します。冷えたオリジナルチキンの内部には豊富な肉汁と水分が閉じ込められていますが、レンジ加熱によってこの水分が一気に沸騰し、外側へ向かって水蒸気として放出されます。この蒸気がチキンの衣に衝突して冷やされ、衣に含まれる小麦粉のデンプンと結びつくことで、衣がふやけてベチャベチャの食感に変貌してしまうのです。
さらに、ケンタッキーのオリジナルチキンは専用の圧力釜を使って最高温度約185℃で一気に揚げる独自の調理法を採用しています。これにより肉汁を閉じ込めている反面、衣自体が非常に繊細で水分を吸いやすい性質を持ちます。日本KFC公式発表手順でも「電子レンジ調理の際はラップをかけない」ことが明記されていますが、これは密閉することでスチーム状態が悪化し、衣の組織が完全に崩壊することを防ぐための最低限の防衛策に過ぎません。