インターネットの検索窓に「24時間テレビ 着服」と打ち込むと、必ずサジェストされるのが「報道 しない」という言葉です。多くの視聴者が感じた「なぜテレビは身内の不祥事を報じないのか」という疑問は、単なる感情論ではなく、当時の民放各局の番組編成に如実に表れていました。
実際には、2023年11月28日に日本海テレビが記者会見を行った直後、同日の夕方ニュースや翌朝の定時ストレートニュース枠で、原稿を読み上げる形式の事実報道は行われました。完全に一切報じなかったわけではありません。しかし、視聴者が猛烈な違和感を抱いたのは、その「扱いの小ささ」と「追及姿勢の欠如」にあります。
芸能人の不倫や政治家の失言、あるいは一般企業の不正会計に対しては、情報番組やワイドショー(日テレ系の『情報ライブ ミヤネ屋』『DayDay.』、他系列の競合番組など)が連日トップニュースで専門家を呼び、数十分にわたって徹底討論を展開します。ところが、自社の看板チャリティー番組の根幹を揺るがす本件に関しては、わずか数十秒の原稿読み上げで済ませ、コメンテーターの議論すら設定しない番組が相次ぎました。
この「身内への甘さ」が、視聴者には「実質的な隠蔽」「報道しない自由の行使」と映ったのです。背景には、系列局ネットワークのパワーバランスと、民放各局に根強く残る「他系列の社内スキャンダルは深く追及しない」という業界内の暗黙の了解(相互不干渉)がありました。加えて、『24時間テレビ』は日テレ系列全体にとどまらず、電通をはじめとする広告代理店、名だたるナショナルクライアントが巨額の協賛金を拠出する巨大ビジネスです。番組の存立基盤を自ら破壊しかねない議論をテレビ自らが主導することは、組織防衛の観点から徹底的に忌避されたと言わざるを得ません。