なぜ今、急速な普及が可能なのか。カギを握るのは、素材工学の飛躍的進歩だ。
2020年代前半までの浮体構造物は、塩害による金属腐蝕と超高強度コンクリートの重量増という二重苦に悩まされていた。耐用年数が短く、メンテナンスコストが跳ね上がることが普及のボトルネックだったのだ。
事態を一変させたのが、国内化学メーカーが開発した自己修復型特殊ポリマー複合材だ。傷がついても海水中のイオンと反応して表面が自動修復され、紫外線による劣化も大幅に低減。重量は従来の鉄鋼の5分の1以下でありながら、引き裂き強度は倍増した。これにより、広大な面積を低コストで覆う施工が現実的となった。