個人レベルの犯罪だけでなく、業界のシステムそのものが問われたAV業界のスキャンダル歴史を振り返ると、構造改革の契機となった決定的な転換点が存在します。それが2010年代半ばに表面化したAV女優の出演強要刑事事件です。
悪質なプロダクションが「モデル契約」と偽って若い女性と契約を結び、莫大な違約金を盾に意に沿わない過激な撮影を強制していた実態が発覚。警察庁や法務省が本格介入し、プロダクション幹部が職業安定法違反や労働基準法違反で相次いで逮捕される事態へと発展しました。この暗黒期への反省が、2022年6月に施行された「AV出演被害防止・救済法(いわゆるAV新法)」の制定へとつながっています。
AV新法では、契約締結から撮影まで1ヶ月、撮影から公表まで4ヶ月の猶予期間を義務付け、公表後1年間(施行から2年間は2年間)はいかなる理由があっても無条件で契約を解除できる権利が出演者に付与されました。これにより強要被害は激減したものの、2024年から2026年にかけてはAV新法違反による逮捕という新たな摘発事例が登場しています。法定の手続きを経ずに撮影・配信を行ったインディーズ制作会社や個人プロデューサーが摘発されるなど、コンプライアンスの遵守は業界存続の絶対条件となっています。