雑誌やWEBメディアのインタビュー、ゲームクリエイターとの対談において、押切蓮介は自身の創作動機について率直な言葉を残しています。「自分の中に溜まったドロドロとした感情や理不尽への怒りを、そのまま原稿用紙に叩きつけている」という発言は、彼の描くバイオレンス描写の生々しさを裏付けています。
特筆すべきは、極限状態を描きながらも常に漂う「乾いたユーモア」です。『サユリ』において、家族を次々に呪い殺す怨霊に対し、残された祖母が「命を濃くして立ち向かう」ためにジャンクフードを喰らい、ラジオ体操で体を鍛え上げる描写はその真骨頂と言えます。絶望的な恐怖のただ中で噴き出す生のエネルギーは、読者に奇妙な高揚感とカタルシスを与えます。
対談企画で明かされたエピソードとして、かつて連載中断などのトラブルに見舞われた際も、「漫画を描くことでしか自分を救えなかった」と語る姿には、商業作家としての強靭なプロ意識と執念が滲み出ています。そうした人生の修羅場をくぐり抜けてきた経験が、キャラクターたちの芯の強さに説得力を与えているのです。