非定型うつ病に苦しむ人が最も直面しやすい壁が、周囲からの「怠けているだけではないか」という厳しい視線です。仕事や家事などストレスのかかる場面では強い抑うつ感に襲われる一方で、自分の好きな趣味や友人との会話といったポジティブな出来事があると一時的に気分が明るくなります。この現象は医学的に「気分反応性」と呼ばれる中核症状です。
従来の定型うつ病では、何が起きても気分が沈んだまま回復しません。対して非定型うつ病(いわゆる新型うつ病のベースとなる概念)では、外からの刺激に対して一時的にエネルギーが湧くものの、状況が変わればすぐに激しい疲労感や気分の落ち込みへと逆戻りします。決して本人が都合よく振る舞っているわけではなく、脳内の神経伝達回路が過剰に反応し、エネルギーを維持できない状態に陥っていることが判明しています。