深界五層の最深部に位置する「前線基地(イドフロント)」を越え、深界六層へと降り立つことを「絶界行(ラストダイブ)」と呼びます。白笛のみに許されたこの儀式を境に、人間が人間として元の地上へ戻る手段は完全に断たれます。
深界六層「還らずの都」における上昇負荷は、まさに悪夢というべき「人間性の喪失、もしくは死」です。六層からわずか数メートル上昇しただけでも、身体の骨格や内臓がドロドロに変形し、言葉や知性を奪われた異形の生物「成れ果て」へと変わり果ててしまいます。
さらに未踏の領域である深界七層「最果ての渦」では、負荷の定義そのものが「確実な死」とされています。いかなる強靭な肉体や精神を持っていようと、上昇した瞬間に生命活動が完全に停止する絶対的な拒絶空間です。この極限の理こそが、探窟家たちを絶望と熱狂へ追い立てるアビスの恐ろしさです。