喉の痛みと発熱が同時に現れた際、多くの人が「単なる風邪だろう」と過小評価しがちです。しかし、東京都江東区で地域医療を担う東砂内科クリニックの渋田院長が解説コラムで指摘している通り、冬期を中心に「喉が強く痛むうえに、熱まで出てきた」と駆け込む患者の病態は、ウイルス性から細菌性まで多岐にわたります。症状検索エンジン「ユビー」の最新臨床データでも、発熱と咽頭痛の組み合わせは新型コロナウイルスをはじめとする複数の重篤な感染症の初発症状として頻繁に記録されています。
原因を突き止める鍵は、「痛みの性質」「熱の上がり方」「喉以外の全身症状」という3つの軸にあります。
第1に疑うべきは新型コロナウイルス感染症です。現在流行している変異株は、上気道、特に咽頭粘膜への親和性が極めて高く、「ガラスの破片を飲み込むような痛み」と表現される強烈な咽頭炎を引き起こします。微熱から始まる場合もあれば、38度以上の急激な発熱を伴うこともあり、強い倦怠感や頭痛、関節痛、下痢・腹痛などの消化器症状を伴う点が特徴です。
第2に季節性インフルエンザが挙げられます。インフルエンザは突然の38.5度を超える高熱と激しい筋肉痛・関節痛、悪寒が先行し、その後に喉の痛みや咳が現れるパターンが典型的です。喉の痛みそのものよりも、全身の激しい衰弱感が前面に出る点で、初期の新型コロナと見分ける目安になります。
第3の原因疾患は、細菌感染によるA群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症)です。子どもの病気と誤解されがちですが、大人の発症例も珍しくありません。溶連菌感染症の初期症状の特徴は、「咳や鼻水がほとんど出ないにもかかわらず、突発的な高熱と激しい喉の痛みに見舞われる」という点にあります。喉の奥(口蓋垂や扁桃)が鮮紅色に真っ赤に腫れ上がり、苺のような舌(苺舌)や微小な発疹を伴う場合、細菌検査による迅速診断が不可欠です。
第4に、口蓋扁桃に細菌やウイルスが定着して激しい炎症を起こす急性扁桃炎です。鏡で口の奥を覗いた際、左右の扁桃腺が赤く腫れ上がり、表面に「白い膿の塊(白苔)」が付着している場合は、急性扁桃炎を強く疑います。唾液を飲み込むだけで耳に響くような激痛が走り、39度前後の弛張熱(日内変動のある高熱)が数日間続くケースが目立ちます。