ここで、観光を心から楽しみ、トラブルを未然に防ぐための重要な心得を整理しておこう。彼らは法的に国の天然記念物として指定されており、同時に野生動物であるという事実を忘れてはならない。触れ合いの現場で最も配慮すべきなのは、適切なディスタンスと接し方のルールだ。
まず、手元に食べ物を持ったまま焦らすような行為は厳禁だ。焦らされたシカはイライラを募らせ、服を噛んだり突進したりすることがある。食べ物を与え終えたら、両手を広げて「もう持っていない」とジェスチャーで見せると、シカは素直に去っていく。また、秋の発情期を迎えたオスや、春に赤ん坊を抱える母シカは警戒心が非常に強い。不用意に近づきすぎず、静かに見守る姿勢が求められる。撮影に夢中になるあまりバックパックや紙袋から目を離すと、中身を引っ張り出されるトラブルも頻発しているため注意したい。