災害社会学および防災行動学の見地から、台風接近時における県民の命の守り方について、明確な判断基準を提示します。避難行動は一律に指定避難所へ向かうことだけが正解ではありません。自身の置かれた地理的環境と建物の構造によって、取るべき選択肢は明確に分かれます。
立ち退き避難(指定避難所・安全な親戚宅等への移動)を選択すべき人
- 木造平屋建て、または自宅の1階部分に居室があり、浸水想定が2メートル以上の低平地に住んでいる人
- 土砂災害警戒区域(イエローゾーン・レッドゾーン)に指定された傾斜地や山沿いに居住している人
- 高齢者、乳幼児、要介護者など、自力での夜間移動が困難な同居家族がいる世帯
- 浸水によって電気・ガス・上下水道が途絶した際、自活できる備蓄が手元にない人
垂直避難(自宅や近隣の堅牢な建物の2階以上での待機)が適切な人
- 鉄筋コンクリート造(RC造)などの堅牢なマンション・アパートの2階以上に居住している人
- すでに外の道路冠水が始まっており、側溝の境界が見えない状態(水深20cm以上)になっている人
- 周囲に土砂崩れのリスクがなく、浸水想定深さを上回るフロアに食料・飲料水・モバイルバッテリーが確保されている人
災害時において最悪の選択は、「外が危険な状態になってからの徒歩や車による移動」です。車は水深30センチメートルでマフラーから吸水してエンストし、ドアにかかる水圧で車内に閉じ込められる凶器へと変わります。移動するなら「明るいうち・冠水前」、手遅れになったら「建物の高い場所で身を守る」という原則を徹底してください。