八女地域の中でも、星野村は特別な意味を持つ。標高が高く、昼夜の寒暖差が激しい。急傾斜地に立ち込める川霧が直射日光を適度に遮り、葉に強烈なアミノ酸を蓄えさせる。この特異なテロワールこそが、日本伝統茶・高級緑茶の頂点と評される理由だ。
しかし、気候頼みだけで名声を維持できるほど現代の製茶業は甘くない。地球規模の気候変動や後継者不足が叫ばれる中、株式会社星野製茶園はただ畑を守るだけでなく、土壌微生物の働きから新芽の含水率に至るまで徹底した科学的アプローチを導入してきた。古びた経験則に甘んじることを潔しとしない姿勢が、茶畑の畝ひとつひとつから見て取れる。