「朝から冷たくて甘いものを口にするのは不健康極まりない」という一般的な先入観に対し、神経科学や生理学の知見からは意外な事実が提示されています。長年、精神生理学分野で脳波研究を牽引してきた杏林大学名誉教授・古賀良彦氏らの研究グループによる実験では、起床直後にアイスクリームを摂取した被験者群において、氷水を摂取した群と比較してリラックスと集中を示す脳波「α波」の有意な増大と、精神的覚醒度の向上が確認されました。
朝一番にアイスを口にすると、口腔内の急激な温度変化が三叉神経を直接刺激し、自律神経のスイッチが副交感神経優位から活動的な交感神経優位へと一気に切り替わります。さらに、睡眠中に枯渇した脳の唯一の直接的エネルギー源であるブドウ糖が速やかに補給されるため、ボーッとしがちな午前中の脳の立ち上がり速度を加速させるトリガーとして機能します。単なる気休めの嗜好品ではなく、五感を刺激して覚醒を促すツールとしての側面を科学的データが裏付けています。