労働基準監督署の調査によって白日の下に晒されたのは、常軌を逸した電通 残業時間 実態でした。タイムカードや入退館ゲートの通過記録から割り出された彼女の時間外労働は、うつ病を発症したとされる2015年10月からの1か月間で約105時間、11月からの1か月間でも約90時間に達していました。これは厚生労働省が定める「過労死ライン(月80時間の時間外労働)」を大幅に超過する数値です。
さらに悪質だったのは、電通社内で行われていた過少申告の慣行でした。当時設定されていた労働時間協定(36協定)の上限枠(月69.9時間)に収めるため、実際の勤務時間よりも少なく入力するよう指示・誘導される構造が存在していたのです。業務を持ち帰って行う「隠れ残業」が常態化し、実態の把握すら困難な状況でした。
肉体的な疲弊に追い打ちをかけたのが、執拗なハラスメントです。関係者の証言や記録によれば、指導担当や上司から「君の残業時間の20時間は会社にとって無駄」「会議中に眠そうな顔をするな、女子力がない」「髪ボサボサ、目が充血した状態で出社するな」といった、業務指導の域を完全に逸脱した暴言が日常的に浴びせられていました。
彼女が極限状態の中で個人SNSに刻み込んでいた投稿の数々は、今読んでも胸を締め付けられる痛切な悲鳴に満ちています。
「休日返上で作った資料をボロくそに言われた。もう心も体もズタズタだ」
「眠りたい以外の感情を失った」
「死にたいじゃなくて、死ぬしかないって感情が強くなる」
日々の睡眠時間が2〜3時間に削られ、思考能力が完全に奪われていくプロセスがリアルタイムで発信されていました。周囲に弱音を吐くことを許さない真面目な性格と、体育会系の威圧的な組織風土が、彼女から逃げ場を完全に奪い去ったのです。