ローカル線旅行の真髄は、息をのむような美しい風景との突発的な出会いにある。肥薩おれんじ鉄道の車窓は、全区間にわたって見どころが尽きない。
熊本側では、穏やかな不知火海と段々畑に実る黄色いみかんのコントラストが目に鮮やかだ。湯浦から津奈木にかけての丘陵地帯では、春には新緑、秋から冬にかけては黄金色に色づく柑橘の香りが風に乗って漂ってくる。
鹿児島県側に入ると、東シナ海の雄大なパノラマが一気に広がる。特に薩摩高城駅から西方駅にかけての区間は、線路のすぐ脇まで白砂のビーチと奇岩が迫る屈指のハイライトだ。晴れた日には遠く天草の島々や甑島列島まで見渡すことができ、車窓越しにシャッターを切る手が止まらなくなる。