事の発端は、元厚生労働省の超エリート官僚から政治家へと転身した豊田真由子氏の事務所内で密かに録音された音源だった。車内で秘書に対して怒号を浴びせるその音声を聴いた国民は、彼女のエリート経歴との強烈なギャップに度肝を抜かれた。連日連夜テレビやウェブでリピート再生され、単なる個人の失言を超えた一大過熱報道へと拡大していった。
しかし、取材を進めると見えてくるのは、選挙区回りの異常なプレッシャーと極限状態の秘書業務という永田町特有の密室環境だ。完璧主義者として知られた彼女が過剰なストレス下で理性を失っていった過程は、個人の感情爆発という言葉だけでは片付けられない、政界の「構造的病理」を映し出す鏡でもあった。