こうした意識改革を強力に後押ししたのが、NetflixやAmazon Prime Videoといったグローバルな映像配信プラットフォームの本格的な参入である。外資系企業の制作手法は、日本の伝統的な芸能界に存在していた「曖昧な不文律」を打破する決定打となった。
これらのプラットフォームは、コンプライアンスの徹底やハラスメント防止のガイドライン、さらには個人の事情に応じた慶弔休暇の確保を契約段階で義務付けている。現場にはインティマシー・コーディネーターやメンタルヘルスの専門家が配置されることも珍しくなく、旧来の密室的な人間関係による強制力は排除されつつある。
グローバル基準の制作プロセスが普及したことで、「親の死に目を諦めて現場に留まること」を強要するような慣習は、明確な契約違反や企業リスクとして認識されるようになった。配信大手がもたらした資本とルールの波は、日本のエンターテインメント産業全体の労働環境を根底から塗り替えつつある。