渡瀬恒彦といえば、若き日に名門・東映のアクション映画や極道映画で頭角を現し、鋭い眼光と命懸けのカースタントで一世を風靡した狂犬的リアリズムの持ち主だ。しかし、カメラが回っていない家庭内での彼は、また違った一面を見せていたという。
芸能界という過酷な世界で長年第一線を走り続けながらも、家庭では子供たちの自主性を何よりも尊重。幼少期の子供たちに対して芸能界入りを強要することは一切なく、一人の人間としての自立を温かく見守り続けた。撮影現場で見せる妥協を許さないプロ意識と、我が子に注ぐ穏やかな眼差し。その対照的な二面性こそが、渡瀬恒彦という人間の深い魅力だったと言える。