肌が水分を蓄えられる限界値は決まっている。日本皮膚科学会の専門医らも度々指摘するように、肌の最外層である角層の厚さはわずか0.02ミリメートル、ラップ1枚分ほどに過ぎない。この極薄の膜に長時間、密閉状態で水分を与え続けると何が起きるか。角層細胞が水分を含みすぎてふやける「浸潤(しんじゅん)」現象だ。
お風呂に長く浸かった指先が白くシワシワになる状態を思い浮かべてほしい。まさにあの脆弱な状態が顔の皮膚で引き起こされる。角層の細胞間脂質が乱れ、かえって肌内部の水分が逃げ出しやすくなるという皮肉な逆転現象が起きるのだ。さらに、密閉によって防腐剤や香料などの微細な刺激成分まで肌の深部へ押し込まれ、慢性的な接触皮膚炎を誘発するリスクも見逃せない。