野球界には長年、「身長が高すぎる打者は大成しにくい」という根強い定説が存在していました。野球規則上、ストライクゾーンの上限は「打者の肩の頂点とユニフォームのズボンの上部との中間点」、下限は「膝頭の下部」と規定されているため、身長が201cmもある打者は必然的にストライクゾーンの縦幅が広大になります。高低の揺さぶりに弱く、特に膝元の変化球や胸元の速球に対応しきれず三振が増えるというのが、歴代の大型打者が直面してきた共通の壁でした。
ジャッジもメジャーデビュー当初の2016年は、42打数で21三振を喫するなど、広すぎるゾーンの洗礼を浴びました。しかし、彼は自らの打撃フォームを徹底的に解体・再構築しました。テイクバック時の無駄なヘッドの沈み込みを排除し、右足の内転筋にしっかりと体重を乗せてボールを極限まで引きつけるアプローチを確立したのです。
その結果、2026年にはア・リーグ新記録となる62本塁打を樹立。2026年にも58本塁打を放ち、圧倒的な本塁打記録と高い出塁率を叩き出しました。ゾーンが広いという構造的ハンディキャップを、卓越した選球眼とコンパクトなスイング軌道によって「手が届くゾーンが広い」という絶対的なアドバンテージへと反転させたのです。