ロサンゼルス国際空港(LAX)に着陸する直前、飛行機の窓から見下ろすと視界に飛び込んでくる巨大な円形サイン。直径約10メートルにも及ぶコンクリート製の巨大ドーナツは、単なる店舗の看板ではない。70年以上の歴史を刻む、カリフォルニア州公認の歴史的建造物であり、西海岸のポップカルチャーを象徴するランドマークだ。
『マーズ・アタック!』から『カリフォルニケーション』、数々のヒップホップのミュージックビデオに至るまで、この店は常にスクリーンの背景に存在してきた。24時間営業のドライブスルーには、深夜のパトロールを終えた警察官から、グラミー賞帰りのトップアーティストまでが同じ列に並ぶ。階層も肩書も関係なく、誰もが紙袋に入った揚げたての生地を求めてコインを差し出す。この飾り気のない大衆性こそが、この場所を特別な聖地に仕立て上げた。