『SURREAL』を語る上で欠かせないもう一つの視点が、プロモーションビデオ(PV)とアートワークで提示された全身豹柄のアイコニックなビジュアルです。アルバム『Duty』のジャケットでは檻の中でうずくまる豹柄姿の彼女が描かれ、『SURREAL』のPVでは荒涼とした砂漠のような無機質な空間に同じ姿で降り立ちます。
当時、渋谷の街には彼女のメイクやファッションを模倣した若者が溢れかえり、豹柄アイテムは爆発的なブームを巻き起こしました。世間はこれを単なる「ギャルカルチャーの頂点」として消費しましたが、本質はまったく逆の場所にありました。当時のテレビ特別番組や関係者への取材記録によれば、彼女自身はこのビジュアルについて「見世物の猛獣のように檻に入れられ、鑑賞される自分」という自嘲的なアイロニーを込めていたことが明かされています。
トレンドを生み出す発信源でありながら、自身もまた消費社会という巨大な怪物に食い荒らされていく恐怖。華美な装飾で自らを包み隠すほど、内面の無防備な孤独が露わになるというパラドックスを、彼女は映像表現を通じて視覚化していました。だからこそ、その異様な佇まいから放たれる「居場所がない」という叫びは、同時代を生きた多くの若者たちの実存的な不安と深く共振したのです。