ネット上で手軽に手に入る可愛いゆるいイラスト無料素材ですが、その手軽さゆえに著作権や利用規約をめぐるトラブルが後を絶ちません。現場取材を進める中で浮き彫りになった、Web担当者や個人利用者が陥りがちな「3つの大きな誤解」を提示します。
第1の誤解は、「商用利用フリー=何をしても自由」という思い込みです。
ゆるいイラスト商用利用フリーと表記されていても、それはあくまで「チラシへの掲載」や「ブログ記事への挿入」といった一般的な範囲を指す場合がほとんどです。配布元の利用規約を精査すると、「1つの制作物につき使用できる素材数は20点まで」「素材そのものがメインとなる商品(LINEスタンプ、Tシャツ、マグカップなど)の販売は禁止」といった制限事項が明記されているケースが大半です。これに違反して高額なライセンス料を遡及請求された企業の事例も報告されています。
第2の誤解は、「無料素材を自社のシンボルマークやロゴに流用できる」という錯覚です。
企業のロゴマークやサービスロゴは、特許庁への商標登録を行うのが通例ですが、大半の素材提供サイトは「素材単体、あるいは改変したものを商標登録すること」を明確に禁じています。他社も利用できるパブリックな素材を特定企業が独占することは、著作権法の精神にも反するためです。ブランドの顔となるロゴを作る場合は、必ず個別のクリエイターに完全オリジナルの描き下ろしを依頼しなければなりません。
第3の誤解は、「改変可能なら、表情やポーズを自由にいじって良い」という認識のズレです。
著作者には法律上「同一性保持権」という人格権が認められており、イラストの首をすげ替えたり、意図的にグロテスク・性的な改変を施したりする行為は、規約違反にとどまらず法律違反に問われるリスクがあります。無料素材を扱う際こそ、著作者への敬意と規約の厳密な読解が求められます。