「伊調馨 吉田沙保里 不仲」——この検索ワードがネット上に定着したのは、2016年のリオ五輪前後からだった。きっかけの一つは、伊調馨が五輪4連覇後に一時、第一線から離れた際の周囲への態度や、吉田沙保里が銀メダルに終わり号泣したリオ五輪の直後、二人の間に目立った交流が見られなかったことだ。雑誌やワイドショーが「確執」「不仲」と見出しを打つたびに、SNSでは「本当に仲が悪いのか?」「ただ競技に集中していただけでは」といった議論が繰り返された。
実際のところ、二人が公の場で互いを強く非難した事実は確認されていない。むしろ、吉田沙保里は過去のインタビューで「(伊調は)同じ女子レスリングを引っ張ってきた仲間。ライバルというより、同志に近い存在」と語ったことがある。しかし、その後に「でも、特別に連絡を取り合うような関係ではない」と続けたことが、雑誌の見出しで「不仲」と切り取られた経緯もあった。伊調馨もまた、自著『負けない心』のなかで「自分は人付き合いが得意ではない。群れるのが苦手なだけ」と率直に綴っており、二人の距離感は「性格の違い」による部分が大きい。
ネット上の反応を見ると、「不仲というより、ただ単にタイプが違いすぎる」「アスリートとしての集中力の裏返し」と冷静に受け止める声が目立つ一方、「同じ競技なのに一緒にいるところを見たことがないのは寂しい」というファンの本音も散見される。真実は、二人にしかわからない。だが、少なくとも「敵対関係」ではないことは、近年の対談やイベントでの表情から読み取れるようになってきた。