かつて西洋料理の受容から始まった洋食は、いまや世界に誇る独自のガストロノミーへと進化した。フランス料理の神髄を日本に伝え体系化した辻静雄の思想や、全日本司厨士協会の先人たちが築いた技術の礎は、現代の町場レストランにも脈々と受け継がれている。
たいめいけんの三代目として知られる茂出木浩司をはじめ、日本洋食協会に集う料理人たちもまた、伝統の味を未来へ繋ぐ発信を続けてきた。家庭料理とも本場フレンチとも異なる「日本の洋食」というジャンル。それは激動の飲食業において、常に人々の胃袋と心を支え続けてきた確固たる食文化なのだ。