患者が抱く最大の誤解は、「大学病院=何でも手厚く親身に診てくれる最高峰の町医者」というイメージです。この思い込みが、受診後の「冷たくあしらわれた」「すぐに他院へ行くよう言われた」という不満へ直結しています。
岩手医科大学附属病院には、全国で7番目に認可された歴史を持つ岩手医科大学附属病院の高度救命救急センターが設置されています。ドクターヘリの基地病院として岩手県全域、時には隣県からの重篤な多発外傷、広範囲熱傷、急性心筋梗塞、脳卒中患者を365日24時間態勢で受け入れており、「循環器病診療総合支援ネットワークシステム(循ネット)」など地域を挙げた救命インフラの主軸を担っています。
つまり、教授や専門医たちのリソースは、地域のクリニックでは対応不可能な高度手術、特殊な薬物療法、原因不明の難治性疾患の解明に集中されなければなりません。病状が安定した患者に対して主治医が「近隣のかかりつけ医への逆紹介」を提案するのは、患者を見捨てているのではなく、次に搬送されてくる重症患者にベッドと診察枠を空けるための倫理的義務なのです。「かかりつけ医で診断を受け、必要に応じて大学病院に紹介され、治療後は再び地元へ戻る」というサイクルこそが、地域医療崩壊を防ぐ唯一の道筋です。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
これらを踏まえ、どのような状況で受診を決断すべきなのか、明確なスクリーニング基準を提示します。
【受診を強く推奨できる人(行くべきケース)】
- 開業医や市民病院での検査で精密検査・特殊治療・手術が必要と診断され、紹介状(診療情報提供書)を交付された人
- がんの告知を受け、先進医療やセカンドオピニオンを含めた集学的治療を希望する人
- 希少疾患や難病の疑いがあり、複数の診療科が連携したチーム医療を要する人
- 突然の激しい頭痛、胸痛、呼吸困難など、救急要請を要する急性期症状を発症した人
【直接の受診をおすすめできない人(慎重になるべきケース)】
- 「なんとなく調子が悪い」「風邪気味」といった初期症状で、紹介状を持たずに受診しようとしている人
- 待ち時間を1分たりとも許容できず、迅速な薬の処方のみを希望する人
- 7,700円以上の選定療養費を自己負担することに納得がいかない人
- 慢性疾患の定期薬処方だけを目的に、長距離を移動して通院しようと考えている人