徳川光成は戦わない。彼自身には、範馬勇次郎のような圧倒的な暴力も、刃牙のような天性の格闘センスもない。心臓病を患い、老いさらばえた肉体を持つ「持たざる者」だ。しかし、彼こそが最強の男たちを従える絶対的な支配者であるというパラドックスが、この作品の面白さを担保している。
金と権力。それらを惜しげもなく投入して作られた地下闘技場は、社会のルールが通用しない聖域だ。徳川はただの金持ちの道楽としてではなく、己の魂を震わせる「本物の闘い」だけを求めている。この純粋すぎるエゴイズムが、戦士たちを引き寄せる磁石となっているのだ。