こうした憶測に対し、番組を制作する非営利団体セサミワークショップ(Sesame Workshop)や、生みの親である人形師ジム・ヘンソン(Jim Henson)側の記録は、薬物疑惑を明確に否定しています。公式資料が明かす「クッキーを食べる本当の理由」とキャラクターの原点は、極めて論理的かつ健全な教育的アプローチに基づいています。
クッキーモンスターの造形的な元ネタは、セサミストリート誕生前の1966年に遡ります。ジム・ヘンソンがゼネラルフーヅ社のスナック菓子「Wheels, Crowns and Flutes」のテレビCM用にデザインした「ホイール・スティーラー(車輪を盗む怪物)」というキャラクターが直接のプロトタイプです。その後、IBMの社内教育用ビデオに登場する怪獣などを経て、1969年の『セサミストリート』第1シーズンで正式に「クッキーが大好物のモンスター」としてデビューを果たしました。
彼がこれほどまでにクッキーに執着する理由は、「幼児の未発達な衝動性と本能」をシンボル化するためです。幼い子どもは、大好物を前にすると理性的なブレーキが利かず、「今すぐ欲しい」「全部食べたい」という本能に支配されます。クッキーモンスターの極端な行動は、子どもたちにとって「自分自身の欲望の鏡」であり、同時に「あんなふうに暴れるのはおかしいけれど面白い」と客観視させるためのユーモア装置として緻密に計算された演出なのです。