「それでも、電極のサビの中に足裏から出た有害物質が混ざっているのではないか」という疑問を抱く人も少なくありません。しかし、人体生理学の基本構造に照らし合わせると、足裏から大量の体内毒素が排泄されるという主張には無理があります。
米国国立衛生研究所(NIH)の公認データおよび基礎医学の知見が示す通り、人間の発汗は体温調節を主目的とする生理現象です。全身の汗腺、とりわけ足裏に密集する「エクリン腺」から分泌される液体の約99%は純粋な水分であり、残りのわずかな成分も塩化ナトリウム、尿素、乳酸といった血漿由来の微量物質に限られます。水銀、鉛、カドミウム、ヒ素などの有害重金属や有機化学物質の無毒化および体外排出は、その大半を肝臓の代謝機能と腎臓の濾過機能(尿)、そして消化管(便)が担っています。
カナダや米国の研究機関が行った水質分析調査でも、デトックス足湯の施術前後の水を採取して質量分析にかけた結果、水中に検出された重金属の成分比率は「溶け出した電極カートリッジの金属組成」と完全に一致しており、施術者の体内から重金属が有意に移行した証拠は検出されませんでした。皮膚は外部からの異物侵入を防ぐ極めて精巧な「バリア機能」を備えた器官であり、都合よく体内の毒素だけをポンプのように外へ吸い出す物理的経路は解剖学上存在しないのです。