本作を語る上で欠かせないのが、当代随一のヒットメーカーである脚本家・野木亜紀子による綿密な会話劇です。『逃げるは恥だが役に立つ』『アンナチュラル』『MIU404』などで知られる野木脚本は、本作において「勧善懲悪では片付かない大人の現実」を浮き彫りにしました。
特に象徴的なのが、物語の主要舞台となった住宅街の隠れ家的クラフトビールバー「5tap」です。実在するクラフトビール文化を丁寧に取材して設計されたこの空間は、仕事や家庭で役割を演じ続けなければならない晶や恒星にとって、利害関係のない「サードプレイス(第3の居場所)」として機能しました。
店主のタクラマカン斎藤(松尾貴史)が注ぐこだわりのビールと、控えめに響くグラスの音。さらに、シンガーソングライター・あいみょんが書き下ろした主題歌「今夜このまま」の弾けるようなビートと切ないリリックが融合し、言葉にできない焦燥感を抱える登場人物たちの心情を鮮やかに彩りました。劇中に登場したビール銘柄やロケ地となった店舗の空気感は、放送から年月を経た現在でも多くのドラマファンの巡礼対象となっています。