Dragon Ashが1999年に『Let yourself go, Let myself go』や『Grateful Days』で社会現象を巻き起こし、モンスターバンドとしての地位を確立して以降、二人の親子関係は公の事実として世間に浸透していった。かつて「親の七光り」を極度に警戒していた関係性は、息子が一人の表現者として頂点を極めたことで、互いを認め合う対等な「男同士の信頼関係」へと昇華した。
二人の関係を象徴するエピソードとして知られるのが、大手酒類メーカー(サッポロビール「大人エレベーター」シリーズなど)のCM展開や、各種メディアで垣間見せた間接的な共演・対話である。直接ベタベタと並び立つのではなく、大人としての距離感を保ちながら互いの人生観を交錯させる演出は、視聴者に強烈な印象を残した。
プライベートにおける二人の距離も非常に近しいものであった。降谷建志が成人してからは、二人で酒を酌み交わし、クリエイティブの苦しみや喜びを語り合う時間が日常となったという。かつて古谷一行さんは周囲に対し、「息子のライブを観に行くと、あいつが何万人もの観客を熱狂させている。親として誇らしいし、一人の表現者として刺激を受ける」と、照れくさそうに誇らしげな笑顔で語っていた。
偉大な父に甘えず、自力で城を築き上げた息子。そして、その背中を信じて口を出さずに見守り続けた父。二人が築いたのは、馴れ合いの親子関係ではなく、表現の荒野を生き抜く同志としての絆であった。