SNSや知恵袋などで散見される「除光液(アセトン)や無水エタノールでトントン叩くと落ちる」という噂には、重大な落とし穴が存在する。確かにこれらの有機溶剤やアルコールは、顔料を固めているアクリル系アクリルエマルジョンなどの固着剤を溶かす力を持っている。だが、その溶解作用こそが紙にとって最大の致命傷となる。
溶剤を含ませた綿棒を当てた瞬間、固着していた顔料粒子がドロドロに液状化し、紙の繊維が持つ強力な毛細管現象によって周囲数ミリから数センチにわたって急速に拡散していく。これが無水エタノール紙滲みリスクの実態だ。直径5mmの書き間違いを消そうとした結果、周囲に淡い色の巨大な輪ジミ(滲み)が広がり、修正前よりも遥かに目立つ無残な状態へと悪化してしまう。
さらにポスカ除光液紙への影響としては、アセトンが紙自体の表面サイジング剤(滲み止め加工)や光沢コーティングを化学的に侵食し、紙がフニャフニャにふやけてシワや黄ばみを生じさせる。乾いた後には繊維の強度が落ちてボロボロに崩れるため、薬剤を使って「化学的に溶かして吸い取る」アプローチは紙に対して百害あって一利なしと断言できる。