大手企業の採用現場および現場社員への取材から、学歴フィルターと年収格差の現在における実情を探りました。建前上は「人物重視」「ジョブ型採用」「学歴不問」を掲げる企業が急増しているものの、採用担当者の生々しい本音と応募システムの裏側には依然として厳格な選別機構が作動しています。
都内大手総合商社の元採用リクルーターは、オフレコ取材に対し次のように語りました。
「プレエントリー数が数万件に達する規模の企業において、すべての応募書類に人間が目を通すことは物理的に不可能です。Webテストの点数と大学名によるスクリーニング(自動振り分け)は不可欠。東大・京大・早慶・一橋には専用のセミナー枠やリクルーター面談が早期から割り振られますが、一定ライン以下の大学群は説明会の予約ボタンを押すことすら困難な画面仕様になっているのが実態です」
SNSや転職プラットフォームにおける大学別年収ネットの反応を定性調査しても、この構造に対する現実的な受け止めが支配的です。
- 「30歳でメーカーから外資系ITに転職した際、前職の社名と出身大学(旧帝大)だけで書類通過率が9割を超えた。学歴は20代だけでなく30代の中途採用でも『地頭の最低保証』として効いてくる」(32歳・男性・外資系クラウドベンダー)
- 「地方国立文系から地元の第二地銀に入行したが、30代前半で年収480万円。同窓会で東京のコンサルに行った慶應の同級生が1,200万円稼いでいると聞いて愕然とした。大学名というより、就職マーケットの違いを10代の時点で知っておくべきだった」(31歳・男性・金融)
- 「学歴フィルターは確かに存在するが、入社後に仕事ができない高学歴は40代で容赦なく年収をカットされている。早慶出身でも管理職に上がれず年収700万で据え置かれる人間もいれば、日東駒専から営業トップで役員になり1,500万円超を取る人間もいる」(42歳・男性・専門商社部長)
このように、学歴は「高年収企業へ入社するための最良の通行手形」であることは間違いありませんが、入社後の昇進・昇給レースにおいては成果主義のメスが容赦なく入る二段階構造になっています。