露天風呂に浸かり、目を凝らす。暗闇のなか、ひとつ、またひとつと黄緑色の柔らかな光が浮かび上がる。川風に乗ってふわりと宙を舞うホタルの群れは、まるで夜空の星々が地上へと舞い降りてきたかのような錯覚を覚えるほどだ。
この景観は一朝一夕で生まれたものではない。地元有志と温泉街が一体となり、数年前から水質浄化と過剰な街灯のカットを徹底してきた。人工的な照明を極限まで削ぎ落としたからこそ実現した「本物の闇」が、ホタルたちの求愛の光を何倍にも鮮やかに引き立てている。2026年の今シーズンは気候条件にも恵まれ、例年以上の密度の光が湯面を照らし出している。